受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

千葉市立稲毛国際中等教育学校

2023年8月28日(月)

「グローバル・リーダー」の資質を育てる、千葉県初の公立中等教育学校

 千葉市立稲毛国際中等教育学校は、千葉県初の公立中等教育学校として2022年度に開校し、この春2期生を迎えました。その母体となった市立稲毛高等学校と附属中学校が実践してきた取り組みを継承しながら、6年完全一貫の教育体制の下、「地域・世界・未来を切り拓くグローバル・リーダーの育成」をめざしています。

 オンラインで開催されたこの日の説明会は、同校の特色である「Inage Quest」と呼ばれる探究活動の紹介から始まりました。「課題設定→情報収集→整理分析→まとめ・表現」というプロセスに沿って、生徒は発達段階に応じたさまざまな課題に向き合い、社会で必要とされる力を養っていきます。教頭の河邊圭介先生は「人工知能にはできないことができる、人間ならではの強みを持った人材の育成が求められています。高い志、幅広い教養、国際的な視野を備えたグローバル・リーダーを育てるために、本校が特に力を入れているのがこのInage Questです」と述べました。たとえば、体育館の踊り場から生卵を落下させて、割れないような仕組みを考える「Egg dropコンテスト」もそうした探究活動の一つです。グループで話し合い、協働しながら取り組みを重ねて、理数的な発想力、論理的な思考力、表現力などを身につけていきます。ほかにも、千葉をテーマにしたプロジェクト、県内の有名企業との連携によるプロジェクト、日本文化に触れる校外学習、茶道・合気道体験から道を学ぶ「道プロジェクト」などが行われています。

 ハイレベルな国際教育・英語教育にも定評があります。中高合わせて11名の外国人教員が指導し、日本人教員による授業もその多くがオールイングリッシュで行われています。また、5・6年生(高2・3)の選択科目として第二外国語(中国語・ドイツ語・フランス語から選択)の授業が週2コマ設けられており、いずれの言語も外国人教員が指導しています。

 異文化コミュニケーション力の育成にも力を注いでいます。外国の中高生との交流を図る行事や交換留学制度があるほか、5年生(高2)全員を対象とするオーストラリアでの海外語学研修、2年生(中2)全員を対象とする福島県のブリティッシュヒルズでの英語合宿などが実施されています。今年度は海外の5校から生徒が来校し、1校につき10~20名が学校生活を共にしました。河邊先生は「海外の生徒は在校生の家庭に宿泊し、一緒に通学します。授業や交流行事の後も互いに好きな話題で盛り上がるなど、コミュニケーションツールとしての英語を実感できる機会になっています」と話しました。

 同校ではまず、前期課程(中学)で徹底的に基礎力を鍛えます。前期課程3年間の英語・数学の授業時間数は、それぞれ標準的な公立中学校より100時間以上多く設定されており、20名前後の少人数制のクラスで学びます。なお、数学は3年生(中3)から習熟度別授業が行われており、十分な授業時間を確保したうえで高校内容の先取り学習も始まります。こうして早期から高度な内容を扱うため、少人数クラスを編成し、学習の成果を確認しながら進めているのです。また、中等教育学校ならではの単元の組み換えが認められる利点を生かして、前期課程の段階で後期課程の科目を学習するといった柔軟なカリキュラムとなっています。河邊先生は「附属中学校時代から英語・数学は先取り授業をしていますが、先取りというより、必要な単元を必要な時期に自由に移動させているというのがふさわしいと思います。前期課程と後期課程とでレベルは違いますが、同じ単元を授業で再び扱うという無駄を省けるのが強みです」と説明しました。

 定期考査は年8回です。短い間隔で単元ごとの確認テストを行って学習の定着状況をきめ細かく確認し、遅れ気味の生徒には個別に補充の指導をしています。ただ、定期考査の回数は教科によって異なり、全教科で8回あるわけではありません。

 部活動も盛んで、23の部・同好会があります。活動は原則として平日週4日までです。無理なく文武両道を実践できるので、生徒の約9割が何らかの団体で活動しているそうです。

イメージ写真 この冬から2024年冬まで大規模改修工事を実施。2024年春に入学する新1年生は旧市立高洲第二中学校の校舎と仮設校舎で学校生活を開始し、冬から新校舎に移る予定です

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