受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

大宮開成中学校

2023年7月10日(月)

世界の一員としての自覚を促し、将来を切り開く教養と発信力を養う

 昨年、創立80周年を迎えた大宮開成中学・高等学校は、教育方針に「調和のとれた人間教育」を掲げ、「豊かな教養と確かな発信力の育成」をめざした改革を進めてきました。近年では、大学合格実績を急激に伸ばした学校として注目を集めています。この春の卒業生も、早慶上理・GMARCHにのべ1190名が合格し、この難関私立10大学の合格者数では埼玉県内でトップになりました。

 校長の松﨑慶喜先生は、「一定以上の教育・研究レベルを保つ大学に進学することは確かに大切です。優れた師、向学心にあふれた仲間と過ごせる場に身を置くことは、高等教育を受ける意義の一つだからです。とはいえ、わたしたちは、名高い大学に入れることだけをめざしているわけではありません」と述べました。そして、「6年間で培わせたいもの」として「進路を拓く力」と「社会を動かす力」を挙げ、具体的な取り組みを紹介しました。

 一つ目の「進路を拓く力」を育てるには、地道に一生懸命学ぶ姿勢を身につけられる環境が重要となります。同校では中学入試の成績に応じて、発展的な内容を扱うTクラスと、復習を重視するSクラスに分かれて学習を進めますが、いずれも平日は1コマ50分の授業が6~7時限行われます。土曜日は1コマ90分の授業が2時限です。週ごとの小テストでは、一人ひとりの理解度をチェックし、合格点に達しなかった生徒には再テストをします。春・夏の長期休暇中には講習を行ってフォローしています。「学習量の多さに、はじめは戸惑う生徒も多いですが、ひと月もしないうちに慣れてしまいます。『こつこつと勉強する生徒が尊敬される』雰囲気が定着しているのも本校の特色です」と松﨑先生は話します。自学自習の習慣化に効果を上げているのが「生活記録ノート」です。起床から就寝までの生活、小テストの結果や自習計画、その日の反省点などを毎日記して、担任の先生に提出します。先生は、コメントを書いて返却しますが、週に1回は保護者も目を通してコメントを記入します。生徒に自己管理能力を身につけさせるとともに、生徒・教員・保護者の間の信頼関係を築いていくのが狙いで、学習指導はこの手帳の記録を活用して行われています。

 もう一つの「社会を動かす力」を養う取り組みとしては、設立時から力を入れている「プレゼンテーション教育」が挙げられました。これは、年間を通して行う探究活動で、SDGs(持続可能な開発目標)を主軸として、中1は「身近な環境」、中2は「日本」、中3は「国際社会」について、一人ひとりがテーマを設定し、独自の視点で探究・発表するものです。この日の説明会では、NPOが主催するフィリピン・セブ島でのボランティアツアーに参加した女子生徒のプレゼンテーション動画が紹介されました。スラム街の子どもと交流した経験から感じたことを伝え、貧困や格差といった社会問題について強く訴えかける様子からは、同校の生徒たちが「社会のために、自分たちには何ができるのか」を考えていく過程をうかがい知ることができました。

 英語教育にも力を入れています。4技能をバランスよく伸ばすことをめざし、ネイティブ教員による英会話に加えて、1対1での会話に慣れるためのオンライン英会話なども取り入れ、アウトプットするのが楽しくなるような授業を行っています。中3では、外国人留学生と共にグローバルな課題を英語で話し合う2泊3日の合同合宿「グローバルビレッジ」も実施されるとあって、昨年度の中3生の英検®準2級取得率は9割近くに達しました。さらに、今年度は新たにフィリピン・セブ島夏期留学プログラム、3ヵ月ターム留学(オーストラリア・ニュージーランド)といった希望者参加型の海外研修プログラムを充実させ、「生徒・保護者向けの説明会参加者は300名に及びました」とのことです。

※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

イメージ写真 「人を育てるのは、人」という教育方針から、同校では、教員が生徒とコミュニケーションをとる姿が日常的に見られます。自習室や職員室の前にはホワイトボードが設置されています

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