受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

光塩女子学院中等科

2023年6月28日(水)

キリスト教精神に基づく人間教育を実践し、自己肯定感を養う

 光塩女子学院は、1931年にスペインのカトリック・メルセス宣教修道女会によって設立されました。校名の由来となっている聖書のことば「あなたがたは世の光、地の塩である」は、建学の精神としても掲げられています。

 この日の説明会で、校長の烏田信二先生は、建学の精神と連動させた各学年の「学年目標」について説明しました。「中1の学年目標『自分との出会い』を言い換えると、『自分のなかにかけがえのない“光と塩”を見つけて、自分を大切にしてほしい』ということです。『ありのままのあなたがすばらしい』『一人ひとりがかけがえのないユニークな存在』という意味もあり、生徒に自己肯定感を高めてもらいたいという願いが込められているのです」と話しました。中1~高3までの各学年の目標には、それぞれの成長段階に応じた聖書の内容にも関連したものが掲げられています。

 現在、同校では三つの努力目標から成る「光塩MANABIプロジェクト2022~2024」にも力を入れています。その一つ目は「授業改善」です。同校では2022年度に保護者から集めたアンケートをもとにより魅力的な授業をめざし、教員を対象とした研修などを実施しています。今年5月には東京大学大学院教育学研究科の栗田佳代子先生を招き、教員向けの講演・ワークショップ研修を行うなど、日々の授業を改善させる機会を増やしています。

 二つ目は「自習室・放課後・特別講座の充実」です。昨夏から卒業生約40名の協力の下、自習室に卒業生による質問コーナーを開設しています。また、毎週水曜日の放課後に開講される、希望者対象の「特別講座」にも幅広い内容のものがあります。今年度開講したNPO法人による特別講座では、アフリカのマラウイ共和国のコーヒーをフェアトレード商品として、今年の11月の親睦会(バザー)で販売するという新たな試みにも挑戦しています。

 三つ目は「ラーニング・コモンズの開室」です。これには、前校長の佐野摩美先生から寄付を受けた多くの書籍が活用されています。「学び合う空間をつくる」という意向から、教室を改装し、携帯用のプロジェクターを設置するなどの計画も立てられているということでした。

 次に、教務主任の塚田聡子先生が6年間のカリキュラムなどについて説明しました。新学習指導要領で示された学力の3要素「知識・技能」「思考力・判断力・表現力など」「学びに向かう力、人間性など」を意識して編成されているとのことですが、英語・数学・理科では習熟度別授業や小テストなどを行い、基礎力を固めたうえで、思考力や表現力を向上させる機会を多く設けています。たとえば、中学段階から情報リテラシーを高めるために「新聞ノート」を作成するのはその表れです。また、中1・2の理科では、ほぼ毎週実験を行って、探究心を養っています。高2での「教養演習」では、英語・国語・倫理などで教科の枠を超えた授業を展開します。「生命倫理」「メディア」「異文化理解」「ジェンダー」といった幅広いテーマを学びながら、問題解決力や探究力を高めるのが狙いです。高2の自由選択科目「理数探究基礎」では、数学・理科・情報などの教員による教科横断的な視点を取り入れた授業を通して、数値的に解析する手法を学ぶものです。最終的には主体的に課題を設定して、みずから探究した成果を発表します。

 さらに、同校の教育内容の大きな特徴として、「共同担任制」も挙げられました。これは、1クラス1教師の担任制ではなく、1学年4クラスを、担当教科も年齢も違う6~7名の教師がチームで担任をするというものです。塚田先生からは「生徒は話しやすい教員を見つけることができ、複数の教員から多角的なサポートが受けられます。また、生徒と教員との1対1の個人面談を各学期に1回、保護者と教員との面談は1・2学期に各1回行い、生徒・保護者・学校の間の信頼関係を深めています」と伝えられました。

イメージ写真 人工芝の校庭と新校舎は2018年に完成。校内のいたるところにマリア像が配置されており、朝礼と終礼には教室で必ずお祈りをします

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