受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

School Now

(「24年7月号」より転載/24年6月公開)

目黒日本大学
中学校・高等学校

卒業後に必要なスキルを磨く
「学校ルーブリック」の導入で生徒の成長を促す

 2019年に前身の日出中学校・高等学校から校名変更し、日本大学の準付属校としてスタートを切った目黒日本大学中学校・高等学校は今春、6学年すべてが校名変更後の入学者となり、一つの節目を迎えました。「質実剛健・優美高雅」を建学の精神に掲げ、しなやかな強さを持った自立できる人材の育成をめざす同校の教育や、6年間の軌跡について、広報部主任の天野正貴先生に伺いました。

生徒は「明るく、忙しく、前向き」
1期生の入学時から変わらない校風

広報部主任
天野 正貴先生

 今年4月、6学年すべてが現在の校名になってからの入学者となり、同校は新たなステージに入りました。広報部主任の天野正貴先生は「入学直後に行われる模試の成績などを見ると、近年入学した生徒は1期生よりも確実に良くなっています。しかし、『明るく、忙しく、前向き』という生徒たちの雰囲気は変わっていません。2期生を迎えるときに1期生が喜んでいたように、5期生も『中高一貫6年すべてがそろったね』と話すなど、在校生全員が今も変わらずに新入生たちを明るい笑顔で迎えています」と話します。

 また、学校説明会のサポート役についても、例年多くの生徒が立候補するため、教員側から指名したことは一度もないそうです。今年度は中1・2の生徒を中心に約90名が名乗り出ました。同校を志望した理由について、在校生は「学校説明会で案内してくれた親切な先輩たちにあこがれたから」「入学したら、自分も説明会のサポートをしようと決めていたから」と答えるケースが圧倒的に多いとのことです。さらに、委員会やクラブ活動、習い事などに精力的に取り組みながらも、学習時間を確保するために朝7時過ぎから教室で自学自習をするなど、自発的に計画を立てて行動する様子もよく見られるそうです。「前向きな姿勢で、さまざまなことに取り組む生徒」が多いことがうかがわれます。

5段階のルーブリック評価を導入し
生徒自身が行動を振り返る

 同校では、教育理念である「しなやかな強さを持った自立できる人材の育成」の実現をめざし、2022年より「卒業後にも活躍していくために必要な価値観とスキル」を指標化した「学校ルーブリック」を導入しました。「価値観」の項目には「共生・向上心・自尊心・社会寄与・克己心」、「スキル」の項目には「思考力・判断力・表現力・人間関係力」の計9項目が表記され、それぞれレベル1~5で自己評価できるように設定されています。

 たとえば、「共生」のテーマのなかには「あいさつ」にかかわる項目が記されています。そのレベル3は「朝の登校時や日ごろの学校生活のなかで、自身が親しくしている人であれば、みずから進んで笑顔であいさつすることが多い」という内容です。これができていると自分自身で感じている生徒は、レベル4の「3ができたうえで、ふだん接点の少ない他者が困っている場面に遭遇したときであっても、思いやりを持って声を掛け、みずから手を差し伸べることが多い」をめざします。天野先生は「すべての項目でオール5を取るのは社会人でも容易ではありません。評価1や2のテーマがあってもいいのです。社会に出る前に、こうした価値観・スキルを本校で少しでも多く身につけてほしいというのが、わたしたちの願いです。クラブ活動や委員会、校外行事などを通じて、成長してほしいと考えています」と強調しました。

 学校行事を行う際には、事前指導・事前学習を行い、生徒にあらかじめルーブリックを意識してもらいます。その後、行事が実施され、終了した後に生徒は自身の行動を振り返り、アンケートに5段階評価を記入します。「たとえば、これまで文化祭を実行委員に任せきりにしていたような生徒も、『文化祭を成功に導くには、自分がどの役割についたらいいか』などと考えるようになりました」と天野先生は言います。このように自己評価の機会を与えることで、生徒は文化祭における自分の振る舞いの成長度合いが数値で明確に認識でき、モチベーションの向上にもつながっているそうです。また、説明会のサポートを積極的に行う生徒は、受験生と接するうえで会話力や相手を思いやる気持ちも育つため、共生や人間関係力、表現力も磨かれます。

準付属校のメリットを生かして
日本大学での学びや留学を経験

 日本大学の準付属校でありながら、同大への推薦入学権を保持したまま、国公立大学や医学部医学科など、他大学を受験することが可能な点も同校の特徴です。基本的には、中高一貫生は外部受験を推奨され、他大学受験者もきめ細かい指導が受けられます。

 中学からの入学生は6年間を通じて、中高一貫生のみのクラスで学びます。どの教科も6年間の学習内容を高2で終え、高3では応用的な学びや大学受験のための対策に時間を充てています。また、国公立大学や難関私立大学の受験に対応できる学力を養うため、国語・数学・英語の3教科を中心に、選抜制の「特別課外授業」や、希望制の「放課後学習会」も実施しています。

 さらに生徒たちの学習意欲を刺激し、主体性を伸ばしているのが探究学習です。中1・2は「日本の伝統文化」「日本の環境」、中3・高1は「SDGs」のように学年ごとにテーマを掲げ、「知識をどう使うか」に重点を置きながら学びを深めています。このほか、生徒が保護者と教員に対して、これまでの成績や生活態度を振り返りながら、今後の目標についてプレゼンテーションする「三者面談」やスピーチコンテストなど、発表の機会も豊富です。加えて昨年度からは、小学生対象の学校説明会に在校生が登壇して学校生活について語るなど、日々の学びを通じて培われたプレゼンテーションスキルを受験生にアピールする機会も設けました。

 日本大学との中高大連携プログラムも充実しています。大学の学部訪問は、中1からスタートし、中学段階から16学部86学科を有する日本最大級の総合大学の専門分野に触れて、大学での学びを体験します。高校生になると、日本大学から教授や准教授、専任教師などを招いての学部説明会にも参加できます。

 海外で学ぶ機会もあります。たとえば、中3生は全員が3年間の英語学習の集大成として、1か月におよぶオーストラリア短期留学に参加します。現地では各家庭に1人または2人ずつホームステイをして、生きた英語を学びます。また、高1・2の希望者を対象として、留学期間を3か月・6か月・1年間から選べるニュージーランド中長期留学プログラムも実施されています。1年間を選択した場合も、現地の学校で取得した単位が認定されるため、帰国後は元の学年に戻ることが可能です。このほか、全国に26校ある日本大学の各高校・中等教育学校から選抜された高校生がケンブリッジ大学ペンブルック・カレッジの施設で共同生活を送り、同カレッジプログラムを受講できる英国ケンブリッジ大学語学研修も行われています。

 最後に、天野先生からメッセージを頂きました。「偏差値が基準に達しているという理由だけで本校を受験するのではなく、まずは実際に学校に足を運び、雰囲気を確かめてください。予約が必要ですが、平日は終日、土曜日は午前中に校舎や授業を見学できます。教室で学習に取り組む生徒の姿勢、教員とのかかわり方など、ぜひ、本校のリアルな学校生活をご覧いただければと思います」

中3の日本大学松戸歯学部訪問での虫歯治療模擬体験の様子。生徒たちはキャンパスや病院を見学し、模擬講義にも参加しました

中3でのオーストラリア短期留学では、生きた英語に触れながらホストファミリーやバディとのかかわり方を学びます

《学校のプロフィール》

目黒日本大学中学校・高等学校

所在地
 〒153-0063 東京都目黒区目黒1-6-15
 JR山手線、東京メトロ南北線、都営三田線、東急目黒線「目黒」駅より徒歩5分 TEL 03-3492-3388
H P www.meguro-nichidai.ed.jp/junior/ 別ウィンドウが開きます。

《各種行事日程のお知らせ》

学校説明会などの情報はこちらよりご確認ください。
www.meguro-nichidai.ed.jp/junior/exam/event/

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