受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

母校再訪

(「24年10月号」より転載/24年9月公開)

母校再訪

日本学園中学校・高等学校

園 紳太郎さん(2021年卒業)
羽成 佳祐さん(2021年卒業)

机上の学習にとどまらない「創発学」
みずから行動する習慣が身につく

 日本学園中学校・高等学校は、1885年創設の東京英語学校を前身とする、長い歴史と伝統を誇る男子校です。2026年度からは共学化し、明治大学の系列校「明治大学付属世田谷中学校・高等学校」として生まれ変わりますが、不変の教育プログラムとして重視しているのが「創発学」の授業です。この学びから得たものや、今生かされていることなどについて、卒業生のお二人に語っていただきました。

自分で考え行動する大切さを学んだ
体験から学ぶ「創発学」の授業

園 紳太郎さん早稲田大学社会科学部4年大学では会社法のゼミに所属しています。1・2年のうちにさまざまな分野の授業を履修できる社会科学部に進学したことで、自分の視野を広げることができました

―入学して最も印象的だったことを教えてください。

 個性的なクラスメートがたくさんいたことです。みんなと過ごす学園生活はとても刺激的でした。また、トライアスロン部や為替株式学習部、モノポリー部など、ユニークなクラブが多いことにも驚きました。

羽成 1クラス20人弱というアットホームな環境です。とても居心地が良く、先生や友人と濃密な時間を過ごすことができたのは良い思い出です。

―中高時代のいちばんの思い出は何ですか。

 中3のときのオーストラリア語学研修です。これは全員参加の約2週間のプログラムで、ホームステイをしながら現地の学校に通うものです。出発までは緊張していたのですが、実際に行ってみたらとても楽しかったのを覚えています。現地の学生との交流を通して、「もっと英語を学びたい」と学習意欲を刺激されました。

羽成 ぼくも中3のオーストラリア語学研修で英語への興味が湧き、高1で希望者対象の「オーストラリア Study Abroad」に参加しました。このプログラムでは、アデレードに3か月滞在し、英語と異文化にどっぷりつかります。結果的に進学したのは法学部ですが、この経験をきっかけに国際系の学部にも興味を持つようになりました。

―クラブ活動についてはいかがですか。

 理科クラブに所属していました。入部したばかりのころは、ぼくともう一人の友人のみでしたが、そこから熱心に勧誘活動を行った結果、部員が7~8人に増えました。活動日は週1回とけっして多くはないのですが、自分たちの興味のある実験に自由に取り組むことができて、とても楽しかったですね。

羽成 小学校のころから野球のクラブチームに所属していたこともあり、軟式野球部に入部しました。そこでは副キャプテンを務め、部員をまとめながらチーム力の強化をめざす醍醐味や難しさを学びました。いくつかのポジションにコンバート(転換)されながら、それぞれの役割のおもしろさを味わえたのも良い経験です。

中学のときの中学部長・谷口先生と再会。「いろいろな面でお世話になりました」と園さんは振り返ります

―特徴的な教育プログラムの一つに「創発学」がありますが、どのような学びが展開されているのでしょうか。

羽成 創発学とは、調査・研究・取材を通して“創造する力”を育み、それらを表現・発表し“発信する力”を身につける日本学園独自のプログラムです。入学直後のオリエンテーションを兼ねて行われる林業体験に始まって、中1の夏休みには漁業体験、中2の夏休みには農業体験があり、第一次産業への理解を深めます。そこで学んだことは、模造紙にまとめて秋の文化祭で発表します。

 なかでも興味深かったのは漁業体験です。沼津に宿泊し、漁師さんとともに、朝4時から漁や水揚げ、競りなどを体験します。小学校時代の友人と「夏休みにどこに行ったか」という話題で盛り上がったとき、ぼくが「沼津で漁をしたよ」と話したところ、とても珍しがられました。

―創発学での経験が、今生きていると感じることはありますか。

羽成 興味のあることをとことんリサーチし、発表する力が身についたと思います。日本学園では、創発学の集大成として、15年後の自分の職業を想像し、その職業についての調査内容をまとめる「研究論文」がすべての中3生に課されます。ここで取り組んだ、ていねいな情報収集や相手にわかりやすく伝えるプレゼンは、現在、大学で求められるレポートや発表に大いに役立っています。

 「自分はどうしたいのか」を考えて行動する習慣がつきました。ぼくは学外の学生団体に所属し、飲食店とともに食品ロスの削減をめざす活動を行っていました。これは、誰かに指示されたものではなく、自発的に問題意識を持って取り組むボランティア活動です。そこで生きたのが、創発学で徹底的に鍛えられた「めざしたい未来をみずからの頭で考え、みずから動く」という主体的な姿勢でした。これは今も、ぼくの人生における行動指針となっています。

明治大学との盛んな高大連携が
志望校選びの大きな決め手に

羽成 佳祐さん明治大学法学部4年法律の知識を生かして社会に貢献したいと考え、大学卒業後は公務員として働く予定です。目標としているのは、どんな人にとっても暮らしやすい社会の実現です

―お二人が進路を決めた経緯を教えてください。

 高1のときに足を運んだ早稲田大学のオープンキャンパスで、構内の雰囲気や大隈記念講堂の品格ある佇まいにひかれました。数ある学部のなかでも社会科学部を選んだ理由は、法学も経済学も文学も学べるという、選択肢の広さに魅力を感じたからです。高3のときは法律と歴史の両方に興味があったのですが、社会科学部ならそのどちらもカバーできると思いました。

羽成 法学部を選んだのは、小学生のときに見たテレビドラマの影響で、法曹界にあこがれを持っていたからです。そのため、法学部を持つ大学のなかから志望校を絞ることにしました。そこで真っ先に候補に挙がったのが明治大学です。日本学園は2026年度から明治大学の系列校になりますが、ぼくの在学中からすでに、高大連携が盛んに行われていました。低学年のころから図書館見学や授業の聴講でたびたびキャンパスに赴き、身近な存在であったこと、そして前身が法律学校だという点も、法学部をめざす自分にはぴったりだと思いました。

―志望校合格に向けて、学校のサポート体制はいかがでしたか。

羽成 正課は1限から7限までですが、1限の前には週に3回、英単語と漢字のテストが、7限の後は放課後講習が実施されます。放課後講習は、全学年対象のものから、受験に特化したものまでさまざまです。そのなかから自分に必要なものを受講して、力をつけていきました。

 世界史の先生に頼み込んで、放課後の時間に論述問題の添削をしていただきました。そのていねいな指導のおかげで、入試本番で過去の出題傾向とは異なる論述問題が出された際も、難なく対応することができました。

高校での担任(社会科)の高橋先生と久しぶりに思い出の教室を訪れた羽成さん。当時の話、近況報告など、自然と会話が弾みます

―最後に、受験生に向けてメッセージをお願いします。

 日本学園には、創発学を筆頭に、フィールドワークに重きを置いた校外学習がふんだんにあります。机上にとどまらない学びを多く経験したい受験生には、最適な学校だと思います。

羽成 何事も生徒主体で進んでいくところが、この学校の大きな魅力だと思います。文化祭にしろ、創発学にしろ、主役は生徒で先生はあくまでサポート役です。自分のアイデアが実現できる学校なので、目標実現に向けて主体的に行動したい人はぜひ入学してください。

《学校のプロフィール》

日本学園中学校・高等学校

所在地 〒156-0043 東京都世田谷区松原2-7-34
京王線・京王井の頭線「明大前」駅より徒歩5分、
京王線・東急世田谷線「下高井戸」駅より徒歩10分

TEL 03-3322-6331
H P www.nihongakuen.ed.jp/ 別ウィンドウが開きます。

《Information》

学校説明会などの情報はこちらよりご確認ください。

www.nihongakuen.ed.jp/exam/exam-jhs/#setumeikai

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