受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

最新中学入試情報

2024年度中学受験  サピックス小学部第29期生/親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 桜蔭中学校

中動的学びへの期待、あるいは能動的勉強のはてのこと

N.Iさん お子さんの名前 Mさん

 合格おめでとう 次は〇〇!!
よく目にするこのフレーズ、皆さんが〇〇に思い浮かんだ言葉は何でしょうか。
 当事者であった頃の私のとある疑問は、4年前にもサピックスにお世話になった双子のその後、そして娘のこの度の過程から、ある確信に至りました。理解力に優れ、当時の私とは「レベチ」な、同世代の彼らが進学した学校の大学進学実績は、案外悪かったのです。私ですらたどり着けたレベルの大学に至れない割合の何と高かったことか。勉強せずサボっていたのか、勿体無いなあ、と。
 さて、中学受験の意義や目的はさまざまであるも、結局のところ現代の親は何を学校に求めているのでしょうか。当事者である子供の学校選択は、その直観と親のスリコミにより、どちらかと言うと能動的なものとして一度帰結するのではないでしょうか。そして進学後しばらくののちに、当事者には同じ問いが生まれます。そう、何を大学に求めるのか。まさか、就職先ではないでしょうに。仮に、その明確なステップのための大学、そしてそのための中学であったとしたら、大半の踏み外した者には何が残るのでしょうか。学歴で言うならばコンプレックス以外の何物でもないでしょう。国家資格・士業取得のために、選択せざるを得ない進路、学科はありますが、その取得でさえ決して目的ではないはずです。
 大学進学実績は学びの延長上には無く、正しくトレーニングされた勉強のはての相対的なスコアリングの産物である。そう、私は学校でトレーニングを受け、単に効率良く勉強していただけのことで、しかもそれが学びであると勘違いして。当時「レベチ」な彼らは、学校では学びを深め、スコアリングのためのトレーニングは各自が独学や塾にて行い、進学は目的ではなく手段ととらえていたのでしょう。スコア化されるレースでは、正しくトレーニングを受けたほうが、単に結果が伴いやすいだけのことで、学びと勉強は、根は同じにせよ方向性には決定的な違いがあるのではないでしょうか。栄光学園中学高等学校、武蔵高等学校中学校に進学した息子たちの現況と、彼らの受験で得た反省を娘に還元しトレーニングした結果、その思いに至りました。出口の良さや塾いらずをうたう学校では、能動的な勉強がせいぜいでしょう。コスパ・タイパを求め、身体性を軽んじる傾向に代表されるこの社会の変質とともに、学校に求めるものも親の変質とともに本質的ではないものへとうつろい、どうしようもない空気を感じます。
 子供たちの中学受験に寄り添い終えたいま私は、他者からの評価を掴むための能動態的な行動・勉強ではなく、内なる中動態的な行い・学びを子供達の青年期の学校生活に期待します。
 そう、合格おめでとう 次は学問!!

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