おしえてピグマはかせ
「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回はオリンピックのお話です。毎回決まって行われる競技もあれば、前回大会では行われたのに今回は行われない、という競技もあります。実施競技はどのようにして決められているのでしょうか。
オリンピックの競技はどうやって決めるの?
開催都市の提案で変わる「追加競技」
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もうすぐパリオリンピックが始まるね。 |
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4年に一度だし、楽しみね。今度のオリンピックには新しい競技ってあるの? | |
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パリ大会で行われるのは32競技329種目。陸上競技や体操など伝統的に毎回行われる28競技と、2021年の東京大会でも行われたサーフィン、スケートボード、スポーツクライミング、そして今回初登場のブレイキン（ブレイクダンス）が実施されるよ。 | |
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東京大会で行われた野球はやらないんだよね。どうしてころころ変わるんだろう。 | |
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前回の大会で採用されたからといって、その後の大会でも行われるとは限らないよ。サーフィンなどの3競技とブレイキンは、「追加競技」といわれるもの。東京大会ではこのブレイキン以外の3競技と野球・ソフトボール、空手の5競技が追加されたけど、今回は野球・ソフトボールと空手は採用されなかったんだ。 | |
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「追加競技」ってどういうものなの? |
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東京大会から始まった新しいルールで、開催都市がその国で人気があるスポーツを追加で提案できることになったんだ。認められれば、その大会だけ正式競技として行われるよ。開催地ごとに特色ある大会にしようという狙いもあるんだ。パリ大会でも東京大会でも、提案した競技はすべて承認されているよ。 | |
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じゃあ、パリは野球を提案しなかったんだね。 | |
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そうだね。でも、4年後の2028年にアメリカで行われるロサンゼルス大会では、野球・ソフトボールが追加競技として復活するよ。 | |
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よかった。野球はやっぱり見たいよね。 | |
人気があってもやるとは限らない!?
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オリンピックの競技として採用するかしないかって、誰がどうやって決めるの? |
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プログラムを決めるのは、オリンピックを主催する国際オリンピック委員会（IOC）。これは各国のオリンピック委員会の代表者が集まった組織で、最終的にどの競技を行うかは、委員が集まるIOC総会で決まるんだ。 | |
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どういうスポーツなら採用されるの? | |
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IOCが採択した「オリンピック憲章」に、競技の基準が定められているよ。夏のオリンピックの場合は「男子が4大陸75か国以上、女子が3大陸40か国以上で実施されている競技」となっているよ。 | |
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日本の相撲のように、一部の国ですごく人気があったとしても、世界的に広く親しまれていなければ採用されないってことだね。 | |
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それから、基本的に機械の力を使ってやる競技は受け入れられない、という決まりもあるよ。だからモータースポーツはやらないよね。施設が確保できるかどうかも条件になるよ。 | |
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野球をオリンピックでやるとなると、大きなスタジアムがいくつも必要になるよね。だから、できる国とそうでない国があるんだね。 |
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競技のほか、種目にも細かな基準があるんだ。種目とは競技の種類のこと。たとえば陸上には100m、走幅跳、マラソンなどの種目があるよ。基準を満たしていても、競技の性格や開催国の事情などで採用できない場合もある。プロのリーグがある国では、リーグがオリンピックに協力してくれないとできないし、そのスポーツをまとめる競技連盟に問題があってもできないよね。人気があって施設が整っていても、「オリンピックでやりましょう」と簡単には言えないんだ。みんなはオリンピックでラグビーが行われていると思う? | |
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ラグビーは人気があるから、当然、オリンピックでやるんじゃないの? | |
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昔はやっていた時期もあったけど、1924年のパリ大会を最後に長い間、行われていなかった。ラグビーは15人制なので、選手の数が多くなる分、費用もかかる。また体力の消耗が激しく、試合間隔を5日くらい開ける必要があるので、2週間ちょっとのオリンピック期間中に優勝まで決めるのは難しいんだ。そこで、2016年のリオデジャネイロ大会から、昔からあった7人制ラグビーを採用したよ。これなら人数が少なく、試合時間も短いから、オリンピック期間中に金メダルまで決められるんだよ。 | |
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問題点があっても、多くの人がオリンピックでやりたいと思えばそんな方法もあるのね。 | |
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ロサンゼルス大会では、クリケット、ラクロスなども追加競技として決定しているよ。 | |
●夏季オリンピックの競技・種目数（1984年以降）
※東京オリンピックは、新型コロナウイルス感染症の影響により、本来の2020年から1年延期して開催されました。
保護者の方へ
1896年にアテネで開催された近代オリンピックの第1回大会。この大会では8競技43種目が行われました。第1回大会から今年の第33回大会まで続けて行われているのは、体操競技、陸上競技、競泳、自転車、フェンシングの5競技だけです。この間、さまざまな競技が行われ、柔道のように世界中に広まったことで、途中から正式競技になったものもあれば、綱引きのように、かつては高い人気があったのに消えてしまった競技もあります。1900年のパリ大会では、非公式ではありますが、熱気球や魚釣りなども行われたそうです。120年を超えるオリンピックの長い歴史のなかには、こうしたこぼれ話もたくさんあります。
