受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

禅の精神に基づく人間教育と
体験重視の探究学習を柱に
真のグローバルリーダーを養成

世田谷学園中学校・高等学校 校長 山本 慈訓 先生

本科コースと理数コースに分かれ
興味・関心に応じた探究学習を行う

先生写真
校長 山本 慈訓 先生

神田 そのための心の教育が「生き方」の授業ですね。坐禅もすると伺いました。

山本 生き方の授業は、各学年で週に1コマあります。宗教科の教員が担当し、自分という存在について考え、社会の問題について考察します。仏教についても学び、年に5回ほど、本校の心臓部ともいえる禅堂で坐禅をします。希望者は毎週金曜の早朝にある坐禅会にも参加しています。

 わたしたちは毎日、いろいろなことにとらわれながら生活をしています。たとえば「宿題なんて面倒くさいな」「あいつとは気が合わないな」など。そうした感情は、放っておくと自分のなかで増幅されて大きくなります。しかし、坐禅をして姿勢と呼吸を整え、ひたすらに座っていると、自分のなかの「とらわれ」に気づき、余計な感情が「片付いて」いきます。生徒たちも坐禅をすると「すっきりする」と言います。余計なとらわれや感情が片付くと、心の中に残っている大切なものに気づきます。

 その大切なものとは何か。それは「感謝」だと思います。家族や仲間がいるのは当たり前だと思えることが「ありがたい」ことなのだと気づき、「感謝」することから「慈悲」や「勇気」は生まれてくると思います。

神田 心を整え、大切なことに気づくための坐禅なのですね。

岡本 学習面では、本科コースと理数コースの2コース制を導入されていますが、学ぶ内容はかなり違うのでしょうか。

山本 2コース制は2021年から採用しています。コース別に募集を行って、中学入学時は本科コースが4クラス、理数コースが1クラスとなっています。高2になると、大学受験を見据えて、本科コースのなかでも文系と理系に分かれます。

 基本的なカリキュラムは本科コースと理数コースとで大きな違いはありません。ただ、たとえば中1・2では、土曜日は「土曜プログラム」といって、基礎力の充実はもちろん、通常の授業の枠を超えたアクティブで体系的な学びも用意しており、その内容は本科と理数で異なります。本科コースは、近くを走る東急世田谷線の巡検や小説の創作など幅広い分野のプログラムを用意しています。理数コースは農業体験や自然探究会など理数系のプログラムを充実させています。

 どちらのコースも、ここで培った力を中3以降の本格的な探究活動につなげていきます。これからの時代に必要なのは高い知的好奇心と創造性だと思います。進学校である以上、大学受験につながる学力をしっかりつけることが大切ですが、それだけでなく、教養的な学び、探究的な学びも大切にしていかなければ、生徒たちの知的好奇心と創造性を高めることはできません。

24年5月号 さぴあインタビュー/全国版:
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