受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

自修館中等教育学校

2024年7月26日(金)

「探究」「グローバルマインド」「EQ」を柱に、実践力と豊かな人間性を育成

 神奈川県伊勢原市にある自修館中等教育学校は、学校法人向上学園が1999年に創設した共学の進学校です。中学校からスタートし、2001年に中等教育学校になりました。「明知・徳義・壮健」を建学の精神に掲げ、実行力のある優れた人材の輩出と、人間教育の発揚をめざしています。4学期制のカリキュラムを採用し、定期考査を廃止するなど独創的な教育スタイルを展開していることでも知られます。

 この日のオンライン説明会では、冒頭で入試広報室長の古跡雅宣先生が「現代は人種や性別などの枠を超え、多様な人々が共存・共栄する時代です。社会では積極的に物事に取り組む主体性や実践力、創造力が求められています。そうしたなか、本校は、生徒が『夢中になれること』に出合い、互いの個性や思考を尊重し合いながら創造力を育んでいける場でありたいと考えています」と語りました。

 同校は「自主・自律の精神に富み、自学・自修・実践できる生徒の育成」を教育目標に掲げ、それを実現するために「探究」「グローバルマインド」「EQ」を学びの三本柱としています。

 なかでも「探究」は、同校が他校に先駆けて実践してきたプログラムです。「社会とのかかわり」を軸にしたカリキュラムを展開しており、生徒は興味のある分野を掘り下げながら社会課題を発見・解決する力を身につけます。まず1・2年生(中1・2)では、地元の伊勢原市や大学の研究室と連携し、与えられたテーマに沿ってグループで取り組み、探究の手法や社会に対する自分なりの視点を養います。そのスキルを基に、3・4年生(中3・高1)では「数理科学」「スポーツ・健康科学」など12の学術分野のゼミに分かれ、自分で選んだテーマについて探究活動を進めます。集大成となる5・6年生(高校2・3)では、「社会参画」「多様な人々との協働」を念頭に据えてテーマを選び、グループまたは個人による探究活動を通して社会に働き掛けていきます。

 国際教育にも力を注いでおり、多様な価値観を受け入れ、世界の仲間と協働していくための「グローバルマインド」の育成をめざしています。そこでは、英語「を」学ぶのではなく、英語「で」学ぶ教育に重点を置き、ネイティブ教員が担当する英会話の授業「Active English(AE)」や、身近なテーマを英語で学ぶCLIL(内容言語統合型学習)などを導入しています。ゲームや映画を楽しみながらネイティブ教員とコミュニケーションを図る「グローバルラウンジ」も設置して、生徒の英語や異文化への関心を高めています。また、国内外の研修プログラムも充実しています。1~3年生はTOKYO GLOBAL GATEWAYで体験学習を行うほか、3・4年生の希望者はニュージーランド交換留学やオーストラリア短期研修も経験できます。地元企業で講義を受けたり、現地学生と交流したりするシンガポール短期研修も3年生以上の希望者を対象に開始します。

 第三の柱である「EQ」とは、感情をコントロールして利用する能力のことで、「心の知能指数」ともいわれます。「感情は行動やその結果を左右します。良好な結果を得るには、行動時の感情を適切な状態に整えることが大切です」と古跡先生は言います。同校では、年4回のEQ診断を行っています。生徒はその結果を基に、自分の心と行動の強み・弱みを客観視し、EQ理論を応用した「セルフサイエンス」という授業を通して、他者との違いを再認識します。さらに、感情の制御方法や他者を理解するためのスキルを学び、コミュニケーション能力を高めます。古跡先生は「心も体も柔軟な中高の6年間は、人間としての土台を築く期間です。だからこそ、この三つの学びを身につけることが大切で、その成果は主体的・自律的な進路選択にもつながり、ひいては生涯の築きにもなります」と強調しました。

イメージ写真 小田急小田原線「愛甲石田」駅からスクールバスで約5分。2023年にオープンした「グローバルラウンジ」は海外文化に触れられるスペースです

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