受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

横浜共立学園中学校

2024年7月3日(水)

「ひとりの人間を無条件に尊重し愛する」教育を実践する、伝統あるミッションスクール

 1871年に横浜・山手の地で、3人のアメリカ人女性宣教師が日本女性の地位向上のためにアメリカン・ミッション・ホームを設立しました。これが横浜共立女子中学園中学校・高等学校の前身で、創立153年を迎えます。

 横浜・はまぎんホールで行われたこの日の説明会は、サピックス教育情報センター本部長の広野雅明先生による入試分析から始まりました。広野先生は、2025年は2月2日が、2026年は2月1日が日曜となることに注意を喚起しました。このため、例年であれば1日・2日に入試を行うプロテスタント系の中学校の一部がその日程を変更することを、すでに発表しています。その後、同校の入試傾向に触れ、「極端な難問は出題されません。それだけに、しっかりと過去問に取り組むことが大切です」とアドバイスしました。

 次に、校長の小澤伸男先生が登壇し、同校の教育理念を説明しました。それは、「心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい、また、隣人を自分のように愛しなさい」という聖書の一節に集約されます。小澤先生は「根底にあるのは、『ひとりの人間を無条件に尊重し、愛する』というキリスト教精神です。わたしたち教員が、生徒一人ひとりに愛情を注ぐことが本校の教育の原点です」と話します。

 特に大切にしているのは、毎朝の礼拝です。全校生徒が礼拝堂に集まり、讃美歌を歌い、聖書の話に耳を傾けます。こうして生徒は、自分が神様から無条件に愛されている、かけがえのない存在であることを知り、みずから愛を実践していくという生き方を知るようになります。小澤先生は、「しかしながら、けっして信仰を強制するものではありませんので、どうぞご安心ください」と強調しました。

 教科教育では、毎日の授業を通じて十分な学力を身につけることを重視しています。基本的な学習習慣が身につくよう、中1から一人ひとりに寄り添った指導を行っています。英語では、テキストに『NEW TREASURE』を使用し、反復練習を積み重ねて基礎学力の向上を図ります。他教科でも、レポートや小テストを繰り返しながら基礎学力を確立していきます。小澤先生は「本校では、一部の生徒だけを特別に伸ばすのではなく、全員の学力を伸ばしていくことが大切だと考えています。学習が遅れ気味な生徒に対しては、少しの変化も見逃さず、気づいたらすぐに声を掛け、話を聞き、学習指導を行います。成績不振の背景には、心の問題が隠れていることもあります。一人ひとりの心にも寄り添うことで、クラス全員が向学心を持つようになり、高い基礎学力の確立につながっています」と述べました。

 独自の取り組みとして、「横浜山手の探究」(高1)という活動もあります。医療宣教師ヘボンゆかりの地をめぐり、教会で牧師から話を聞いたり、元町商店街や横浜中華街に赴いてインタビューをしたりといった探究活動を行い、グループごとに発表するのです。また学校全体としては、6月には「ハンセン病を正しく理解する週間を」、9月には世界の現状と課題について学びを深める「国際理解週間」を設けています。さまざまな問題について、深く学び、考える機会になっています。

 クラブ活動は、文化系・ステージ系が特に盛んで、高度な研究活動に取り組んでいる部もあります。体育系については選手養成や業績などを重視せず、学園生活を有意義にすること、縦のつながりのなかで楽しく活動することを重視しています。日曜日の活動は行っていないため、公式戦に出場することはありませんが、近隣の私立校との交流試合を頻繁に行っているそうです。

イメージ写真 横浜市指定有形文化財第1号に指定されている本校舎と、2018年に完成した南校舎は、伝統を継承しつつ新しい取り組みに挑戦する同校の教育を象徴しています

kjg.ed.jp/ 別ウィンドウが開きます。

ページトップ このページTopへ