受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

学習院中等科

2024年6月6日(木)

都内の緑豊かなキャンパスで、中高大一貫のメリットを生かした教育を展開する

 学習院の起源は、1847年に孝明天皇により京都に設けられた「公家の学習所」にさかのぼります。1877年には東京・神田で私立の華族学校として創立されました。皇室との縁が深く、1884年には宮内省管轄の官立学校となり、1908年には目白の現在地に移転しました。戦後は学制改革を機に一般の学校法人となり、幼稚園から大学院までを擁する総合学園として発展しています。

 説明会であいさつに立った中等科・高等科科長(学校長)の髙城彰吾先生は、同校の沿革に触れながら「JR目白駅の前に門がある都内の一等地に約20万㎡もの敷地を有していて、そこに新旧さまざまな建築が並んでいるのは、本校の歴史と深く関係しています。自由を重んじる校風の下、生徒一人ひとりの個性を尊重し、伸びやかに学ぶ環境が整っています。新緑の今は、桜の見頃に匹敵するほど、キャンパスが美しい季節です。お子さんが通う姿をイメージしながら、散策をお楽しみください」と述べました。

 教育内容の説明は、教務課長の土屋良太先生が担当します。教育目標として「多様性を認める」「個性を伸ばす」を掲げる同校では、中学段階から各教科を細分化し、より詳しく、わかりやすい授業を展開しています。たとえば、理科では物理・化学・生物・地学、英語ではリーダー・英会話・演習・LLというように分野ごとに分け、それぞれ専門の教員が指導に当たります。加えて、数学・英語の授業は、中1からクラスを2分割して20名程度の少人数制で実施します。また、数学は中3から、英語は中1から習熟度別での授業を導入し、それぞれの理解度に合わせて学べるような配慮もなされています。さらに、中3の英語では、「ネイティブ教員がオールイングリッシュで指導するコース」「英字新聞や洋楽を教材にするコース」といった10種類から選べる授業を週1時間設定しています。高等科ではドイツ語・フランス語・中国語の履修も可能です。

 中2の希望者を対象にした10日間のニュージーランド短期研修では、ホームステイをしながら現地校に通います。「これを足掛かりに、およそ1年間の長期留学を経験する生徒も増えていて、協定校との留学制度なども整えています」と土屋先生は説明します。

 宿泊型の学校行事が多いのも特徴です。赤城山登山を経験する「林間学校」(中1)、富士山麓や河口湖畔などの自然を観察しながら一日に約20kmを歩く「長距離歩行」(中2)、生徒と教員で話し合いながら旅行先を決める「修学旅行」(中3)のほか、最長4㎞の遠泳に挑む「沼津游泳」、春休み期間中の「スキー学校」など希望者参加型の恒例行事もあります。

 一貫校の利点を生かし、学習院大学と連携した企画も設けています。大学教授が各専門分野についてレクチャーする「出張講義」、大学研究室で実験に臨む「理学部研究室体験」などさまざまです。土屋先生は「中高生でもわかりやすく、かつ好奇心を大いに刺激されるプログラムとなっています」と紹介しました。さらに近年では、大学が提供する産学連携プログラムも開催されています。昨年度は、人工衛星のローンチサービスや宇宙教育などの事業を展開するSpace BD株式会社と、学習院大学理学部との連携による「タンパク質結晶化体験ワークショップ」が開催され、学習院高等科と学習院女子高等科の生徒が一緒に参加しました。

 高等科卒業後に学習院大学に進学者するのは6割弱で、残りの4割強は他大学や海外大学へと進学します。学習院大学への内部推薦は、高3の成績と、9月・1月に行われる実力テストの結果が成績の判定基準となります。他大学を受験する場合は、高3の11月までに推薦辞退の届け出が必要です。土屋先生は「卒業後の進路について、生徒は最後まで考えて決めています」と強調しました。

イメージ写真 国際理解教育のためにニュージーランド短期研修を2010年に開始しました。中2の希望者が参加します。毎年応募者多数のため、20名程度を選考します

www.gakushuin.ac.jp/bjh  別ウィンドウが開きます。

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