受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

市川中学校

2024年5月30日(木)

図書館を活用した「第三教育」で「自ら進んで生涯学び続ける力」を育成

 1937年に開校した旧制市川中学校から発展した市川中学校・高等学校は、千葉県有数の進学校として知られています。2024年春の卒業生も国公立大学に147名(そのうち東京大学27名)が、早慶に200名超が現役合格を果たしています。

 説明会の冒頭、校長の及川秀二先生は、俳人・松尾芭蕉が残した「よく見ればなずな花咲く垣根かな」という句を紹介し、「本校の教育観のすべてです」と語りました。そのうえで、「非常に小さな白い花を咲かせるなずなにも良さがあるように、人間も一人ひとりがかけがえのない存在です。われわれ教員をはじめ、周囲の人々はその良さを見極める必要があると思います」と強調しました。

 同校では「人はかけがえのない唯一無二の尊い存在であり、それぞれがすばらしい個性や可能性を持っている」という意味の「独自無双の人間観」、生徒一人ひとりの持ち味を見極め、引き出し、開発・進展させる「よく見れば精神」、生涯にわたり学びを続ける能力を育む「第三教育」の三つを建学の精神に掲げています。そのうちの一つ「第三教育」について、及川先生は「家庭における『第一教育』、学校で受ける『第二教育』に対し、『第三教育』とは自分で自分を教育することを意味しており、本校では創立時から実践しています」と説明しました。

 具体的な学びについては、中高6年間を2年ずつに分けて学習を進める3ステージ制を基本としています。「基礎期」でもある1stステージ(中1・2)では、生徒たちは物事のとらえ方を学びます。その過程で大事にしているのが、紙と鉛筆を使った学習です。「本校では最初の2年間ではタブレットやパソコンは学習に必要がないと考えています。この時期にしっかりと紙の本を読み、辞書を引き、じっくりと自分の頭で物事を考え、自分の手で文字を書くことは、非常に大事だからです」と及川先生は強調しました。ただし、第三教育センターやPCルームなどでは、必要に応じてタブレットを使用しているとのことです。

 2ndステージ(中3・高1)となる「発展期」では、タブレットの多彩なアプリを活用します。掲示板アプリを通して、さまざまな課外活動や他流試合の情報を生徒に提供し、学びの場での経験を促します。多くの生徒が国際研修や国内研修・各種コンテストに積極的に参加しているそうです。

 3rdステージ(高2・3)は「応用期」で、卒業後を見据えた進路選択を行います。外部の有識者を招いての「土曜講座」や、古典の哲学書をテキストにした対話型セミナー「市川アカデメイア」などを通して、教養を深めていきます。

 文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されてから4期に入り、16年目を迎えた同校では、「科学力」を伸ばすための教育も全学年で実践しています。高2では理系の生徒全員が課題研究に取り組み、そのなかでデータ分析などを学びます。

 また、「国際力」を培うプログラムも充実しています。希望者を対象としたシンガポール研修(中3)、ニュージーランド研修(中3・高1)、ボストン・ダートマスカレッジ研修(高1・2)などのほかにも、高1・2の希望者を対象とした、海外の学生と学ぶ「Global Studies Program」や、高大連携開催の「神田外語大学グローバル・イシュー探究講座」など、国内研修も行われています。

 前身が男子校だったことから施設面などの状況もあり、男女それぞれの定員数を設けていた同校ですが、2025年入試では、これまで設定されていた中学第1回入試における募集定員を男子180名・女子100名から、男女280名とすることが発表されました。これについて及川先生は、「入試における変化はほとんどありません」と述べました。

イメージ写真 12万冊超の蔵書を誇る、「第三教育センター」と呼ばれる図書館。落ち着いて勉強に打ち込める自習スペースのほか、リラックスしながら友だちと勉強できる畳スペースも設けられています

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