受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

芝中学校

2024年5月24日(金)

答えのない問いに向き合う「芝漬ゼミ」で、最先端の学びを体験

 芝中学校・高等学校は、浄土宗の子弟教育を目的に1887年に設立された浄土宗学東京支校を前身とする、1906年創立の中高一貫の男子校です。校訓である「遵法自治」と仏教精神の「共生(ともいき)」を基盤に、人間力を培う教育を実践しています。

 説明会であいさつに立った校長の武藤道郎先生は、冒頭で、上野公園から増上寺までの約20キロを歩く「大江戸ウォーク」や、真鶴半島での磯の生物観察など、中1生対象の校外学習をはじめとした、多彩な学校行事を紹介しました。今年度は中3・高1の希望者を対象とする、カナダとニュージーランドへの2週間の海外研修も再開されるそうです。また、中1から高2までの生徒が企業や地域の課題に挑み、高2で卒業論文を書き上げる探究学習が週1コマ実施されていることにも触れました。武藤先生が軽妙な語り口で学校生活の楽しいエピソードを伝えると、会場の保護者から笑みがこぼれ、和やかなムードが広がりました。武藤先生は「中高6年間を過ごした生徒たちにとって、芝はいつでも思い出せる故郷になります。ぜひまたお子さんと一緒に遊びに来て、今度はわたしの話を聞くお子さんの表情を見てください。つまらなそうにしているか、楽しそうにしているか、それが学校選びの基準にもなると思います。わたしはよく『第一志望校は三つ決めよう』と言いますが、そのうちの一つに本校を選んでいただければ、大変うれしく思います」と結びました。

 次に、学習係主任の兵藤友紀先生から、同校独自の課外講座「芝漬ゼミ」の説明がありました。これは、夏休みや冬休みなどの長期休暇中に行われる希望制の講座です。「教科や学年にとらわれないオープンな学びの場を設けたい」「探究的な学びをめざして、生徒の知的好奇心を刺激するようなわくわく体験を提供したい」という教員の思いからスタートしました。その一例として挙げられたのは、今年3月、中高大連携協定を結んでいる東京慈恵会医科大学で実施された、白血病医療に関するゼミです。白血病と診断された高校生の実例をもとに、当時の高1の受講者11名が2チームに分かれ、医師と医学生の協力を得て、治療法などの課題について話し合うワークショップを行いました。「通常の授業や定期考査と違い、芝漬ゼミには必ずしも答えがあるわけではありません。複雑で多様化している時代だからこそ、こうしたゼミを通して答えのない課題に向き合ってほしいと思います」と兵藤先生は話します。

 さらに、同校では昨年より卒業生のネットワークを活用し、北海道大学や九州大学など、遠方の国立大学でも芝漬ゼミの取り組みを開始しました。その目的は、地域に根づいた独創的な研究を体感して学びの視野を広げるとともに、大学選びの一助にもすることです。今年の夏は、東京慈恵会医科大学で脳神経外科に関するゼミを新設するとともに、新たに東北大学でもナノ粒子やブラックホールに関するゼミを含めた24講座の開講が予定されています。兵藤先生は「今年度から東北大で運用が開始された世界最先端の研究施設『ナノテラス』も見学させてもらうことになっています。本校では、こうしたさまざまなゼミを今後も展開していきます。お子さまが入学されたら、自分の興味・関心の幅や裾野を広げる機会として大いに活用してもらいたいと思います」と語りました。

 中学入試については、入試・広報部部長の池之上正明先生が説明を担当しました。2025年度は、例年どおり2月1日と4日の計2回の入試が実施されます。両日を受験した場合は、4日の入試において、ボーダーラインを数点下回っても正規合格とする優遇制度があります。なお、ここ4年ほど追加合格者は出ていませんが、追加合格がある場合にも両日受験者が優先されるとのことです。

イメージ写真 地上8階、地下1階建ての校舎本館。2階の職員室の隣には、ふれあいコーナーが設けられ、生徒が教員に気軽に相談しています。近隣にある芝公園では、フィールドワークも行われます

www.shiba.ac.jp/ 別ウィンドウが開きます。

ページトップ このページTopへ