受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

函館ラ・サール中学校

2023年5月19日(金)

50人の大部屋での寮生活を通して「社会人になって重視されるコミュニケーション力」と「一生の友人」という人生の宝を得る

 函館ラ・サール学園は、フランスに生まれ、ローマに本部を置くラ・サール修道会によって設立されたカトリックミッションスクールです。1960年に高校が、1999年に中学校が開校しました。寮を持つ道内有数の進学校であり、全国から男子生徒が集まっています。

 この日の対面説明会には理事長代理の井上治先生が登壇し、同校の特色を三つに分けて説明しました。

 井上先生が最初に挙げたのは「人間教育重視」です。「わたしたちは『困っている人を大切にする』というキリスト教の教えを大切にしています。たとえば成績が低迷している生徒や問題を起こした生徒にも、他の進学校以上にやり直しの機会を与えていると思っています。『甘い』と言われるかもしれませんが、学力や素行だけで人を判断せず、長い目で見守ります。それが聖ラ・サールの教えでもあります」と語ります。

 二つ目は「全国区性」です。同中学校の入学者の過半数は東京・大阪・名古屋の出身で、首都圏からは毎年30名以上が入学しています。井上先生は「ある卒業生が『ラ・サールにいたときは全国から生徒が集まっていることは当たり前だと思っていた。でも卒業してわかった。あれは特殊な環境だった。あそこから得たものはとても大きかった』と話していました。本校の特色を見事に言い表しています。自分とは違う地域文化を背負った友人たちとの日常的な触れ合いは広い視野を醸成します」と話します。

 そして三つ目が、同校の最大の特徴である「大部屋寮生活」です。井上先生は寮の違いを簡便に知る尺度は「寮生の割合」「出身地の多様性とその数」「生活形態」の三つがあるとし、「寮の違いは学校の違いよりもずっと大きいのです。寮の違いはこの三つのポイントに留意して調べるとかなりわかってきます」と話します。同校の寮生の割合は中学が約65%、高校が約60%で、道内または近県出身の生徒よりも遠くから来ている生徒の方が多く、しかも全国で唯一、およそ50人での集団生活を送っています。井上先生は「個室や2人部屋と50人部屋とでは人間体験の次元が異なります。50人が一緒に生活していれば毎日本当にいろいろなことが起こり、嫌な思いもします。しかし、その経験を通してこそ鍛えられるのが、今求められている人間関係力やコミュニケーション能力が鍛えられるのです」と力強くアピールしました。

 寮内では電子ゲームはもちろん、スマートフォンの持ち込みも禁止です。「プライバシーはなく、不自由と言えば不自由ですが、こんな時代だからこそ、生身の人間同士の濃密な接触・ぶつかり合いに大きな意味があるのです。子どもたちはいつの間にか友人のことを『仲間』と呼ぶようにもなります。6年間で得られたものの大きさは、偏差値のように数値では表せませんが、卒業生の自己評価では全国トップと自負しています」と井上先生は強調します。

 また、小学校卒業と同時に親元を離れて寮生活をすることについては、「慣れないうちはホームシックになる子も多いですが、人間関係に揉まれるなかで子が親を思い、親が子を思う気持ちが純化され、より絆が深まっているとおっしゃる方が多いです。親と離れることで、それまで当たり前だと思っていた親のありがたみがわかるのでしょう」と話しました。

 最後に、2024年度入試について説明がありました。追加合格者については毎年、「第一志望」の欄にチェックを入れた受験生のなかから出しているそうです。また、入試では1次・2次ともに、4科のほかに3科も選択できますが、2024年度入試からは、従来の国語・算数・理科だけでなく、国語・算数・社会も選べるようになるということです。

イメージ写真 野球、サッカー、ラグビー(人工芝)、テニスが同時に行える広大なグラウンド、二つの体育館など運動施設が充実。全国大会に出るクラブも多数あります

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