受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

女子美術大学付属中学校

2022年7月9日(土)

美術教育とリベラルアーツの学びで、多彩な分野で活躍できる力を培う

 1915年に開校した女子美術学校附属高等女学校を前身とする女子美術大学付属高等学校・中学校は、日本で唯一の美術大学付属校です。「美術を通して、我が国の文化に貢献する有能な女性を育成する」という教育理念を掲げ、さまざまな改革を推進しています。

 オンラインで開催されたこの日の説明会の冒頭、校長の石川康子先生は、「本校では、美術教育を基幹として、リベラルアーツを重視した教育を行っています。感性を伸ばすと知性も伸び、さらに伸びた知性が感性を補完します」と述べ、教育目標である「智の美」「芸(わざ)の美」「心の美」の三つの美を高めて、「美術の力」を育んでいることを説明しました。続けて、「現代社会においては、相手のニーズを満たすものを、力を合わせてゼロから作り上げていく独創力・表現力・協働力が求められています。本校ではこうした『アート思考』や『デザイン思考』を育てているのです」と強調し、「中学入試ではあえて、美術の実技試験を行いません。『絵を描くことや、ものづくりが大好き!』という強い思いさえあれば、小6の段階では技能が伴わなくても大丈夫です。本校でしっかりと伸ばしますのでご安心ください」と力強く語りました。

 次に、広報部主任の並木憲明先生から、学校概要について説明がありました。「中学校では週4コマの美術の授業が設けられており、高校ではより専門的な美術教育に取り組んでいます。それと同時に、“知性”が“感性”を支えるという考えの下、すべての教科を大切にしています。高校を普通科課程にしているのもそのためです」と話します。

 全教科で美術を取り入れた教科横断型の授業が行われていることも特色の一つです。たとえば英語では、美術と融合した少人数制のオリジナル授業「Art in English」を実施。日本人教員とネイティブ教員のチームティーチングを導入し、国際社会で活躍することをめざして、美術用語や表現などを英語で学びます。また、1人1台のiPadを活用してオンライン英会話にも取り組んでいます。

 進路については、卒業生の約90%が美術系に進学しますが、そのうち約75%が母体である女子美術大学・同短期大学部への内部推薦です。一方で、美術系以外の学部・学科を希望する場合には、高3で週10コマある美術の授業をすべて他の学科に振り替えることができる「学科選択」の制度もあります。1人でも受講を希望する生徒がいる教科・科目は開講し、誰もが希望する進路に進めるようにサポートしているとのことです。

 美術教育についての説明は、美術科主任の遠山香苗先生が担当しました。同校には10室の美術室、CG教室がありますが、なかでも特徴的なのが中学絵画室、中学デザイン室といった中学生専用の美術教室が設置されていることです。18名の美術科専任の教員が本格的な授業を展開しています。遠山先生は、生徒たちの作品を画像で紹介しながら、各学年の取り組みを解説しました。中学では、風景画・静物画・工作・染物・陶芸・木工などのたくさんの課題を通して「美術が好き」という気持ちを育みます。高1からは美術史も学び、高2になると「絵画コース」「デザインコース」「工芸・立体コース」から選択して、それぞれ専門性を深めます。高3では卒業前に中高6年間の集大成となる卒業制作に全力で挑み、作品は東京都美術館で開催される卒業制作展で展示されます。

 2023年の中学入試に大きな変更点はありません。入試委員長の小島礼備先生からは、入試では、難問や奇問を解ける力よりも、「基礎から標準程度の問題をミスなく解ける力が求められること」が伝えられました。また、「国語の物語文の記述問題では、状況説明もあわせて登場人物の気持ちを書くと、より完璧な解答に近づきます。算数は大問ごとに過去にさかのぼると、問題の傾向がつかめます。理科・社会には、表やグラフから読み取れることを記述で説明させる問題が含まれます」というアドバイスも送られました。

イメージ写真 全教室に電子黒板とWi-Fiが完備され、ICT機器を導入した学習が充実しています。生徒たちは作品を保存するツールとしてもiPadを活用しています

www.joshibi.ac.jp/fuzoku/ 別ウィンドウが開きます。

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